曹洞宗 :(『横浜善光寺在家聖典』-1996年成寿山善光寺発行-よりの抜粋)
【お経】
 修証義般若心経大悲心陀羅尼観音経寿量品偈遺教経・甘露門・舎利礼門参同契宝鏡三昧 




  参同契
石頭希遷( せきとうきせん) 禅師(700〜790AD)の撰。
題名は、参差(現象)は同一(真理)に契合している、といった意味。

竺土大仙心 東西密相付 人根有利鈍 道無南北祖 靈源明皎潔 枝派暗流注 執事元是迷 契理亦非悟 門門一切境 迴互不迴互 迴而更相渉 不爾依位住 色本殊質象 聲元異樂苦 暗合上中言 明明清濁句 四大性自復 如子得其母 火熱風動搖 水濕地堅固 眼色耳音聲 鼻香舌鹹醋 然依一一法 依根葉分布 本末須歸宗 尊卑用其語 当明中有暗 勿以暗相遇 当暗中有明 勿以明相覩 明暗各相對 比如前後歩 萬物自有功 当言用及處 事存函蓋合 理應箭鋒哘 承言須會宗 勿自立規矩 触目不會道 運足焉知路 進歩非近遠 迷隔山河固 謹白參玄人 光陰莫虚度

参同契
竺土大仙の心、東西密に相附す、人根に利鈍あり、道に南北の祖なし、霊源明に皓潔たり、支派暗に流注す、事を執するも元これ迷い、理に契うも亦悟にあらず、門門一切の境、回互と不回互と、回してさらに相渉る、しからざれば位によって住す、色もと質像を殊にし、声もと楽苦を異にす、暗は上中の言に合い、明は清濁の句を分つ、四大の性おのずから復す、子の其の母を得るがごとし、火は熱し、風は動揺、水は湿い地は堅固、眼は色、耳は音声、鼻は香、舌は鹹酢、しかも一一の法において、根によって葉分布す、本末すべからく宗に帰すべし、尊卑其の語を用ゆ、明中に当って暗あり、暗相をもって遇うことなかれ、暗中に当って明あり、明相をもって覩ることなかれ、明暗おのおの相対して、比するに前後の歩みのごとし、万物おのずから功あり、当に用と処とを言うべし、事存すれば函蓋合し、理応ずれば箭鋒さそう、言を承てはすべからく宗を会すべし、みずから規矩を立することなかれ、触目道を会せずんば、足を運ぶもいずくんぞ路を知らん、歩をすすむれば近遠にあらず、迷て山河の固をへだつ、謹んで参玄の人にもうす、光陰虚しく度ることなかれ。


参 同 契 (さん どう かい)

竺土大仙 (ちくどだいせん) (しん)東西密 (とうざいみつ)相附 (あいふ)す、 人根 (にんこん)利鈍 (りどん)あり、 (どう)南北 (なんぽく) ()なし、 霊源明 (れいげんみょう)皓潔 (こうけつ)たり、 支派暗 (しはあん)流注 (るちゅう)す、 () (しゅう)するも (もと)これ迷い、 () (かな)うも 亦悟 (またさとり)にあらず、  () 門門一切 (もんもんいっさい) (きょう)回互 (えご)不回互 (ふえご)と、 ()してさらに 相渉 (あいわた)る、しからざれば (くらい)によって (じゅう)す、 (しき)もと 質像 (しつぞう) (こと)にし、 (しょう)もと 楽苦 (らっく) (こと)にす、 (あん)上中 (じょうちゅう) (こと) (かな)い、 (めい)清濁 (せいだく) () (わか)つ、 四大 (しだい) (しょう)おのずから (ふく)す、子の其の母を ()るがごとし、火は (ねっ)し、風は 動揺 (どうよう)、水は 湿 (うるお)い地は 堅固 (けんご) (まなこ) (いろ)、耳は 音声 (おんじょう)、鼻は ()、舌は 鹹酢 (かんそ)、しかも 一一 (いちいち)の法において、根によって 葉分布 (はぶんぷ)す、 本末 (ほんまつ)すべからく (しゅう)に帰すべし、 尊卑 (そんぴ)其の語を (もち)ゆ、 明中 (めいちゅう) (あた)って (あん)あり、 暗相 (あんそう)をもって ()うことなかれ、 暗中 (あんちゅう)に当って (めい)あり、 明相 (めいそう)をもって ()ることなかれ、 明暗 (めいあん)おのおの 相対 (あいたい)して、 ()するに前後の歩みのごとし、  () 万物 (ばんもつ)おのずから (こう)あり、 (まさ) (よう) (しょ)とを言うべし、 事存 (じそん)すれば 函蓋合 (かんがいがっ)し、 理応 (りおう)ずれば 箭鋒 (せんぽ)さそう、  () (こと) (うけ)てはすべからく (しゅう) ()すべし、みずから 規矩 (きく) (りっ)することなかれ  触目道 (そくもくどう) ()せずんば、足を運ぶもいずくんぞ (みち)を知らん、 (あゆみ)をすすむれば 近遠 (ごんのん)にあらず、 (まよう)山河 (せんが) ()をへだつ、  ()謹んで 参玄 (さんげん)の人にもうす、   () 光陰虚 (こういんむな)しく (わた)ることなかれ。

(漢和対)


竺土大仙心 東西密相付 竺土大仙の心 東西密に相附す
人根有利鈍 道無南北祖 人根に利鈍あり 道に南北の祖なし 
靈源明皎潔 枝派暗流注 霊源明に皓潔たり 支派暗に流注す 
執事元是迷 契理亦非悟 事を執するも元これ迷い 理に契うも亦悟にあらず 
門門一切境 迴互不迴互 門門一切の境 回互と不回互と 
迴而更相渉 不爾依位住 回してさらに相渉る しからざれば位によって住す 
色本殊質象 聲元異樂苦 色もと質像を殊にし 声もと楽苦を異にす 
暗合上中言 明明清濁句 暗は上中の言に合い 明は清濁の句を分つ 
四大性自復 如子得其母 四大の性おのずから復す 子の其の母を得るがごとし 
火熱風動搖 水濕地堅固 火は熱し風は動揺 水は湿い地は堅固 
眼色耳音聲 鼻香舌鹹醋 眼は色 耳は音声 鼻は香 舌は鹹酢 
然依一一法 依根葉分布 しかも一一の法において 根によって葉分布す
本末須歸宗 尊卑用其語 本末すべからく宗に帰すべし 尊卑其の語を用ゆ
当明中有暗 勿以暗相遇 明中に当って暗あり 暗相をもって遇うことなかれ 
当暗中有明 勿以明相覩 暗中に当って明あり 明相をもって覩ることなかれ
明暗各相對 比如前後歩 明暗おのおの相対して 比するに前後の歩みのごとし
萬物自有功 当言用及處 万物おのずから功あり 当に用と処とを言うべし
事存函蓋合 理應箭鋒哘 事存すれば函蓋合し 理応ずれば箭鋒さそう
承言須會宗 勿自立規矩 言を承てはすべからく宗を会すべし みずから規矩を立することなかれ
触目不會道 運足焉知路 触目道を会せずんば 足を運ぶもいずくんぞ路を知らん
進歩非近遠 迷隔山河固 歩をすすむれば近遠にあらず 迷て山河の固をへだつ
謹白參玄人 光陰莫虚度 謹んで参玄の人にもうす 光陰虚しく度ることなかれ

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