本文へスキップ

成寿山 善光寺:仏教寺院 〔曹洞宗

曹洞宗

曹洞宗という宗名



 曹洞宗(そうとうしゅう)といいます。
 臨済宗(りんざいしゅう)・黄檗宗(おうばくしゅう)などと共に一般には禅宗と呼ばれています。坐禅を中心とするのでこういわれます。
 宗名の由来は、釈尊(お釈迦さま)から数えて第28代目の弟子である達磨大師に基づき、中国で広まります。
 インドから渡った達磨大師の六代目である大鑑慧能(だいかんえのう)禅師は中国の人であり、中国禅として中国全土に伝わりました。
 そして五家七流といわれるように、家風・お師匠さまの教え方によって分かれていきました。
 中でも洞山良价(とうざんりょうかい)禅師は、禅を日常生活に綿密にいかすことを完成させましたので、曹洞宗はそのみ教えを守っています。
 曹渓山(そうけいざん)六祖大鑑慧能禅師の「曹」と洞山良价禅師の「洞」とあわせて曹洞宗と呼ばれました。
 もう一つの説に、洞山良价禅師とその弟子曹山本寂(そうざんほんじゃく)禅師によって伝わったというので、洞山と曹山の山の名を連ねたともいわれています。


曹洞宗の宗旨



 お釈迦さまから伝わった正伝の仏法を、
 只管打坐(しかんたざ/ただ、心を集中して坐禅すること)・即心是仏(そくしんぜぶつ/坐禅の姿と心で人生を生きてゆけば、そのまま仏(さとりそのもの)である)
 という宗旨で貫かれております。


日本での開宗



 道元(どうげん)禅師が、中国天童寺如浄(にょじょう)禅師から受け継いで、今から八百年前の鎌倉時代に京都で開かれました。
 その大いなるみ教えを四代目の瑩山(けいざん)禅師が日本全土に広がるようにつとめられ、今では日本最大の仏教教団といわれております。
 曹洞宗では、道元禅師を高祖、瑩山禅師を太祖と申し上げ、深く尊んでおります。


日本の大本山



両大本山
 福井県の吉祥山永平寺(高祖道元禅師御開山)
 横浜市の諸嶽山總持寺(太祖瑩山禅師御開山)




一仏両祖



 日本の曹洞宗には「一仏両祖」という定めがあります。
 一仏は本尊釈迦牟尼仏です。
 両祖は高祖道元禅師、太祖瑩山禅師のお二方です。


本尊さま



 釈迦牟尼仏です。お寺によっては、その成り立ちから観音さま、薬師さま、地蔵さまを本尊にしている所があります。これは特別の事情によるものであって、曹洞宗の本尊ということになれば、覚者お釈迦さまです。
 『修証義』の中に、「過去現在未来の諸仏、共に仏と成る時は必ず釈迦牟尼仏となるなり、これ即心是仏なり」とあります。それは、私たち一人ひとりが仏なんだということを示しています。
 お釈迦さまは悟って覚者になられましたが、ご自分のいただいた真理の道、正伝の仏法は過去七仏といって、過去のみ仏さまが覚ったことだといわれております。
 過去、現在、未来の三世に常にましまして、しかも、私たち一人ひとりの心に内在し、活かしてゆくというひろがりを持つものなのです。
 大乗仏教という大きな乗り物をいただく曹洞宗の本尊ですから、現に覚った釈尊(釈迦族の聖者・人間ゴータマ・シッタールタ)・釈迦牟尼仏、そのお釈迦さまを覚らせてくれた永遠の生命(久遠の釈迦牟尼仏)、そして現に存在する私たち、その三つを貫く象徴そのものが本尊さまです。
 仏心と申してもよろしいでしょう。
 こういうものを本尊に対するみ方、本尊観といいます。


本尊唱名



  南無釈迦牟尼仏
 お釈迦さまにお任せいたします。お願いいたしますという意味です。
 南無は元来インドのことばでナマステーと発音され、帰依・帰命と訳され、中国で南無とか那摩・那莫・納慕などとも音写されました。
 釈迦は釈尊がシャカ族出身であるということを表します。牟尼はインドの宗教界において、聖者・賢者に対する尊称として用いられました。
 仏は仏陀、覚った人の意味です。曹洞宗では帰依三宝といって南無帰依仏・南無帰依法・南無帰依僧とも唱えます。


教 義



 お釈迦さまから歴代の祖師に伝え来たった正伝の仏法を信じて、日常生活にいかしてゆくことが曹洞宗の安心です。
 坐禅をし、その坐禅の心をそのまま活かしてゆく、仏心による生活をしてこそ曹洞宗の信者なのです。
 そのためには、ご自分を深く見つめ直し、私たちをいかすみ仏の存在を信じ、み仏の光明に照らされているわが身を大切にしてゆくことです。
 まさに”仏心にめざめた姿”であります。
 み仏の子である私たちが縁あるものを幸せにしていこうという誓願の行為を家庭に職場に社会にそして世界に実践していくことです。
 『修証義』に示される四摂法(四つの修行者としての実践項目)、布施(ふせ)・愛語(あいご)・利行(りぎょう)・同事(どうじ)を積極的に行うことであります。
 共に生き、共に喜び、共に悲しみ、共に歩んでゆく大乗仏教の精神に生きるというのが曹洞宗の教義です。


お 経



修証義般若心経大悲心陀羅尼観音経寿量品・甘露門・ 舎利礼門参同契宝鏡三昧 等の諸経典を読誦します。

勤行の一例



 仏壇の前に正座して、気持ちを落ち着けます。坐禅の調身・調息・調心に気配りしましょう。
 左手に数珠を持ちます。ローソクに灯をともし、線香(1本)に火をつけて香炉に立て、お花、お水、ご飯の供わっていることを確かめて至心に合掌礼拝をします。
 ふつうは仏前で朝夕二回お勤めをするのが原則ですが、できない時はどちらか一回でもお勤めします。
 この時、リンを二つ心を込めて鳴らします。
 合掌礼拝が終わりましたら、お教本を丁寧に開いて、リンを三つ鳴らしておさえ、合掌してお経の題目を唱えてから、リンを一つ鳴らして、本文を音読します。
 回向は、普回向を唱え、合掌三拝します。

合掌について



 指と指の間を離さず、すべての指を合わせ、掌をピタリとつけます。胸の前で、胸につけないように少し前に出します。
 これを虚心合掌(こしんがっしょう)といいます。

お焼香について



 お香は仏さまへの供養物です。線香の本数に決まりはありませんが一本です。
 抹香による焼香の場合、主香一回が普通です。前後に試し香、従香を焚き二回三回の場合もあります。心を込めて丁寧に一回なさるとよいでしょう。
 先ず合掌し、お香を三本の指に含んで額の前にいただいてから香炉に焚きます。前後の合掌低頭(頭をさげること)は大切です。心を込めて丁寧にいたしましょう。